インプラントの情報交差点
「外から目にみえない力を加えて治療できる画期的な方法。
倫理審査委員会に申請していて、臨床試験にもちこもうとしているところです」とK総長。
コンピュータによる自動磁気誘導で、気管支の端に薬やアイソトープ(放射性同位体)を置いてくるなど、いろいろな応用ができるとまた、子宮頚がんの細胞診に代わる侵婁の少ない検診技術や小型MRI(磁気共鳴画像撮影法)などの開発もめざしている。
2つ目には、映画「ミクロの決死圏」のようなロボット外科手術があげられる。
内視鏡のようなはたらきをする挿入部とロボットとしての機能をもつ手術装置、画像解析・補助装置を統合した手術用ロボットを開発し、直接みることのできない体内の深部や狭い部分で効果と安全性を両立した高度な手術を標準的治療にすることをめざしている。
直径1センチ以内の内視鏡の先端を前立腺などからだの深いところに挿入し、そこからメスやハサミ、小さい器具を送りこんでコンピュータで管理しながら手術するという。
国立がんセンターのほか、東京大学、東京J医科大学、早稲田大学、帝京大学、それに、日本医療機器関係団体協議会をはじめ日立メディコ、ペンタックス、日立製作所といった企業が参画し、5年間の研究がはじまったところだ。
3つ目は、抗がん剤をカプセルのように包みこんで選択的にがん細胞に送りこむDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)で、治療効果を高めるとともに副作用を減らすねらいがある。
たとえば、代表的な抗がん剤のひとつにシスプラチンがある。
これは、腎臓に対する毒性が強いので、1日何リットルもの輸液をして洗い流さなければならず、患者の負担が大きい。
そこで、直径20ナノメートルの微小な粒にして、まわりをポリエチレングリコールでくるむミセル体をつくった。
ミセルとは、たくさんの分子またはイオンが集まった粒子で、いわば、ナノ20億分の1メートルのカプセルである。
これをマウスに投与すると、従来のシスプラチンでは尿毒症に近い副作用が出ていたのに、ミセル体では副作用がほとんどなかった。
抗腫傷効果は変わらない。
利尿をかけないですむので、そこで、やはりポリエチレングリコールでくるんだミセル体NK105をつくると、水によく溶けるようになる。
しかも、血中濃度が長く維持されて、抗腫傷活性はもとの物質と変わらないのに、副作用は少なかった。
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